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寒中紅花染め体験ツアーを初めて実施しました
2023/02/22

寒中紅花染め体験ツアーを初めて実施しました

こんにちは。DMC天童温泉の鈴木です。

2023年2月18日(土)に、草木染め職人から教わる「寒中紅花染め」体験ツアーを実施しました。


参加者が染め上げた紅花染めのスカーフと反物

今回は、こちらのツアーのレポートをお届けします。

コンセプトは、山形が誇る至宝「紅花」の価値を再認識するための本物の紅花染め。

今回のツアーの舞台となるのは、山形市平清水にある草木染工房瓶屋(かめや)さん。

自家染料畑で、染料のもととなる草木を栽培しており天然染料や山形の素材にこだわりを持って染物に取り組んでいます。


瓶屋の佐久間さんご夫妻

参加者は、10:30に瓶屋さんに集合。

我々もですが、皆さんも緊張の面持ち……。

私から冒頭、ご挨拶や本ツアーの趣旨・目的をお伝えさせていただき、佐久間さんにバトンタッチ。

瓶屋さんの歴史や、草木染めについてのお話しを中心に、特に、今回の体験はとにかく本物にこだわって準備をしてきたことをお伝えいただきました。


佐久間さんの熱意が伝わります

実は、世の中に存在する紅花染め体験では、紅餅を使っていなかったり、山形県産の紅花を使っていなかったり、藁灰、烏梅などの染め物に必要な素材は、人工的なもので代用されています。

それが悪いことではなく、少しでも多くの方に紅花や紅花染めに触れていただきたいという想いから、なるべく原価がかからないように(体験代が手軽になるように)しているのだと思います。

我々としては、最初にお伝えしたコンセプトの通り「本物の紅花染め体験」を提供したいと考え、全て天然染料にこだわって体験化しましょうと瓶屋さんにご相談しました。

常々、本来価値のある紅花を自ら価値(=価格)を下げて提供することよりも、本来の価値を提供していきたいという想いがうまく重なり合い、快くお受けいただけました。

瓶屋さんには、心より御礼申し上げます。

とは言え、藁灰は事前に藁を燃やして灰にして、それを濾して上澄みをとるなどの作業が必要になりますし、量もどれだけ確保したらいいのか定かではない。


藁を燃やして灰にする様子

紅餅も自分たちで育てた紅花から取れたものだけではなく、他からも仕入れなければいけない。


赤い色素を高めて、保存性もよくした紅餅

時間、労力、予算がどうしても必要になります。

それでも、この寒中紅花染め体験をやる意味や意義を参加者と一緒に導き出したいとの想いで開催に至りました。

このような話を参加者にお伝えさせていただきながら、いよいよ寒中紅花染めへ。

瓶屋さんの軒下というロケーションで実施しましたが、ここがまた雰囲気がいいんです。


藍などの草木が装飾されていて雰囲気抜群です

こちらで染め方のレクチャーを受けて、染めていきます。

最初に染めるのは2色のスカーフ。

事前にウコンで染めた半分黄色いスカーフと、ゲンノショウコで染めたグレーと白のスカーフをそれぞれ紅花染めしていきます。


参加者には、予約時にどちらかお選びいただきました

あ、そうそう。

なぜ、この寒い季節に染めるのかというと簡単に言えば綺麗に染まるから。

詳しく説明すると、温度(気温)が高いと一気に色素が繊維に染み込むためムラがでることもしばしば……。

反物で言えば最初に液に触れた箇所と最後に触れた箇所の染まり具合に違いが出ることもあるそうです。

寒いこの冬の時期に行うことで、染まりづらくなります。

その特性を活かして、たえず染料の液体の中で布を動かし続けることで綺麗に染まっていきます。


だんだんと染まっていきます。つ、冷たい。

参加者には、この体験をしていただきました。

20分程度、その冷たい液体の中に手を入れたまま布を動かし続けるものですから、当然冷たくてだんだん痛くなりますよね。

でも、そんなことを感じさせないくらい皆さん集中して染めていました。


染め上げると手は真っ赤に

次に染めるのが反物。

反物を裁断して、分けて染めることは、反物を扱う方々からの批判ももしかしたらあるかもしれません。

そのような中、参加者に喜んでいただきたいという想いから今回限りひとり50センチ角の反物をご用意してくださいました。


真白な反物を染めていきます

これを染めると、紅花染めの真髄がご覧いただけるからです。

染まっていく過程を見つめながら、生地を動かし続ける皆さんの真剣な表情が本当に素敵でした。


真っ赤に染まっていく様が美しい……

寒中紅花染めが終わり、ランチのお時間です。

今回は、山寺でお土産の販売と食堂を運営しているえんどうの遠藤まき子さんにお願いをして紅花づくしのランチをご用意いただきました。

えんどうさんでは、通常紅花づくしという御膳を旅行者に提供しています。

それをアレンジして参加者にご提供しました。

内容は、紅花入りのおにぎり、紅花入りのおやき(あけびと青菜漬けの2種類)、漬物、紅花を混ぜ込んだ団子汁です。

冷えた身体には温かいものをご提供したく、瓶屋さんで温めさせていただき、アツアツの団子汁をいただきました。


まき子さんのご好意で温かいものは温かいまま提供できました

お昼ご飯の間、参加者が染めたスカーフと反物はアイロンがけを行い、仕上げていきます。


アイロンがけをすると色がすーっと変化します

参加者は、ランチを食べ少し休憩してから蔵見学へ。

瓶屋さんの蔵には、紅花染めされたお着物が納められています。


お店のすぐ脇に蔵があります

紅花染めは、退色していくもの。特に日光と洗濯には弱く、色が抜けてしまうことがあります。

そのことを瓶屋さんと話していたところ、いい言葉を教えていただきました。

紅花染めの色の変化は、「退色」ではなく「経年変化

年の経過とともに、色が移ろいゆくというなんとも素敵な表現だなと思いました。

その変化の特徴をおさえて、せっかく綺麗に染め上げた紅花染めですから大切に保管しながら扱ってほしいと佐久間さんのお母様は話します。


一同、儚くも美しい紅花の世界観に浸ることができました

お店に戻ってきたら、皆さんが染めたスカーフと反物が仕上がっていました!

ムラなく綺麗に染め上がっているとのことで、美しく染まっていたので感動の瞬間でしたね。

扱い方をレクチャーして、ひとりひとりに受け渡ししました。


忘れられない想い出になっていれば幸いです

最後に、近くの八百坊さんで入れる温泉入浴のチケットをお渡しして解散。

冷えた身体は温泉で温めるのが1番ですね!


平清水から車で5分ほどのところの温泉

今回のツアーでは、紅花本来の価値は“1%の赤”と定義づけていました。

その赤を天然の素材を使うことで最大限引き出し、紅花の最盛期の頃を再現するかのような本物の紅花染めにトライした形です。

シンプルに原点に立ち返って、人工的なものを取り入れず自然本来の恵みを活かし、人々の生活に調和していく。

そんな世界観をこの体験で表現できれば素敵だなと思いました。

できたのかな。

来年も実施できるように瓶屋さんと共創していきます!

瓶屋さん、参加してくださった参加者の皆さん、県庁スタッフの方々、遠藤まき子さん、関わってくださった皆さん、本当にありがとうございました!


この記事をご覧の方で、興味がある方はぜひ一度、瓶屋さんに足を運んでみてください。

なお、冬場は冬ごもり中なので事前に連絡するか、春以降におでかけくださいね!

瓶屋さんの公式ホームページを見る